司書のオススメ図書紹介

当室に所蔵する書籍の中から、司書がオススメ図書をピックアップします。
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2017年

 2017/04/26

日本人のしゃれ好き

166号(江戸東京博物館メールマガジンwindow open 2017/4/21 186号掲載)

幕末に来日したワーグマンによって創刊された『ジャパン・パンチ』は、外国人の目からみた日本風刺の漫画を掲載、「ポンチ絵」の語源となっています。明治に入ってからは『団団珍聞』(まるまるちんぶん)などが刊行されますが、そこに掲載されているのは時局・政局などを題材にしたパロディー漫画です。

これらの漫画を集めて解説した本は数々ありますが、その中で『風刺漫画で日本近代史がわかる本』(草思社・2011年)が目に留まりました。

同書は書名のとおり、近代以降、歴史上有名な事項を題材に描かれた風刺漫画を編年式に紹介しながら日本近現代史をみるというものです。今からちょうど140年前、国内最後の内戦「西南戦争」のところには、『団団珍聞』から「諸新聞社で戦地の絵図を出し升(ます)から弊社でも真似をしました」という「熊本近傍の笑(絵)図」がとりあげられています。中には、例えば熊(熊本)の絵が描かれていて、「鹿の児(鹿児島)がいくらさわいでもへい気だろう」と言っていたりします。

今から10年以上前のニューズレター50号で、江戸の判じ物(判じ絵)版画の本をとりあげたことがあります。判じ物は、例えば2冊の本の表紙に「は」の字が4つ書いてある絵があってこれを「日本橋」(=2本は4)と読ませる、といった具合のものです。

ワーグマンの影響もあり、日本での風刺漫画は定着・定番化したと言えると思いますが、それより前から日本人はパロディーとかかけことばとか、広くしゃれ好きでした。近代と近世、その「クドさ」(笑)を比べてみるのもおもしろいと思います。