2023.06.20えどはく移動博物館報告
令和5年度のえどはく移動博物館の第一弾は、伊豆大島で開催しました。
大島町教育委員会のみなさんにもご協力いただき、開発総合センター2階の大集会室で9日間出張展示をおこないました。
「改修後にはぜひ江戸博へ行ってみたい」と思っていただけるように、パネルや模型、複製資料などを中心に、当館の常設展示をコンパクトにまとめ、江戸時代から近代までを紹介しました。
当館公式キャラクターのギボちゃんも大島に出張して、会場の前でみなさんをお迎えしてもらいました。 なかなかの人気で、写真を撮っている方も多くいらっしゃいました。
伊豆大島は高速ジェット船で竹芝から1時間45分と、気軽に行くことができますが、展示した模型やパネルなどは全てコンテナに詰めて貨物船で輸送しました。
コンテナを開発総合センターの駐車場に一時置かせていただき、会場へ搬入しました。
今回は特別出展として、そば屋の屋台(模型)や「持ってみよう 千両箱(複製)」、第一国立銀行(模型)など、当館常設展示の見どころの一つである精巧な模型や体験型資料の一部を展示しました。
なかでも「乗ってみよう 人力車(複製)」は、みなさん座って写真を撮ったり、子供たちが一度だけではなく何度も座りに来ていたり、世代を問わず多くの方が体験されていました。
エレベーターに乗らない大きさだったため、4人がかりで持ち上げて階段で2階へ運んだので、みなさんに喜んでいただけて何よりでした。
また、江戸時代の行商人の売り物を再現した「かついでみよう 棒手振りの売り物(複製)」の魚に関心を寄せる方が多くおられました。
特集コーナーとして、大島を描いた伊東深水や川瀬巴水による版画や、昭和初期の観光ブームによりさかんに発行された絵葉書など、大島特有の風景や風俗を写した館蔵資料もパネルにして展示しました。
かつての様子を意外と知らなかったとおっしゃる方もいれば、伝統的な装束に身を包んだ「アンコさん」の、髪を長く伸ばした姿などから思い出をお話しくださる方もいて、会話が弾んでいる様子でした。私たちも資料だけではわからない島のことを知ることができました。
体験コーナーやイベントにもたくさんの方が参加してくださいました。
手回し式の蓄音器の実演では、大島を歌った古いレコードをお持ちくださった方がいて、貴重な音源をみなさんと聴くことができました。
黒電話とプッシュホンをつないで実際に通話ができるようにすると、ダイヤルを回す手ごたえや呼び出しベルの音に、子供たちは夢中になっていました。
歌舞伎などで使われる楽器や、甲冑の複製、雑誌の付録としてつくられたバリエーション豊富なすごろくなども、お子さんだけでなく大人の方も興味をもってじっくり見たり手に取ったり、楽しそうに体験されていました。
平日には小学校6年生や、大島高等学校の生徒さんも見学に来てくれました。
9日間という限られた期間でしたが、800人近い方が会場にお越しくださいました。
楽しかったとおっしゃっていただいた方や、会期中何度も足を運んでくださった方、昔の大島の生活をいろいろ教えてくださった方など、たくさんの方とお会いすることができました。
江戸東京博物館のことを知っていただくとともに、大島のことを私たちも知ることができて、とても充実した時間となりました。