2023.05.22えどはく移動博物館報告
東京都立王子特別支援学校の高校1年生の社会の授業で甲冑体験を行いました。
移動博物館の甲冑は複製ですが、素材や重さは本物の甲冑をもとに製作されています。
今回は3つのブースに分かれて甲冑のパーツや衣装を紹介しました。
1つ目は兜のブース。
戦の時に頭部を守る役割を持つ兜は、かぶってみるとしっかり首の後ろまで守る構造になっていることがわかります。
兜は防具ですが、それだけでなく装飾は威厳や強さをアピールするものでもありました。
鉄で作られているため重さがありますが、意外と軽いという感想もありました。
顔を覆う面頬(めんぽお)もつければ、首から上は完全防備です。
2つ目は胴や籠手(こて)など鎧のブース。
胴体を守る「胴」のほか、すねを守る「臑当(すねあて)」、太ももを守る「佩楯(はいだて)」、腕を守る「籠手」があります。
実際に着てみて、思ったより動きやすいという感想もありました。
籠手は、布地に様々な形の鉄板と鎖が縫い付けられています。肘と手首の部分は鎖になっているので、自由に動かすことができるのですね。
胴はずっしりと重いですが、「着てみたい!」とチャレンジしてくれる生徒さんもいました。
3つ目のブースではズボン状の「たっつけ袴」や鎧の上に着る「陣羽織(じんばおり)」を着てみました。
どれも装飾が細かくてとても華やかです。
当館所蔵の陣羽織も画像で紹介しましたが、裏地まで鮮やかな模様が施されているものもあります。
着てみるとみんな自然と背筋が伸びて誇らしげで、立派な武将の雰囲気が出ていました。
美しいものを身に付けることは、武士にとってとても意味のあることだったようです。
さらに今回は江戸東京博物館の模型も持っていきました。
江戸博に来たことや外観を見たことのある生徒さんもいたので、「このエスカレーター乗った!」「電車から見たことある!」と盛り上がっていました。
今回の甲冑体験を通して、着てみると重いけれど動きやすいように工夫されていることなど、実際に着ることで分かったことがたくさんあるようでした。
「甲冑」と一言で言っても、時代や甲冑を所有していた武将によって形や装飾の違いがあるので、この体験を機に興味を持ってもらえると嬉しいです。