2023.03.14えどはく移動博物館報告
東京都立文京盲学校の3年生に、歌舞伎についてワークショップを行いました。
日本を代表する伝統芸能の一つである歌舞伎。
まずは、歌舞伎の特徴や舞台について知るところから始まりました。
舞台上で映えるようにつくられた華やかな衣装や化粧についてお話ししてイメージを膨らませていきました。
続いて、表面に凹凸があり、指先で触れて形などを確かめることのできる「触図」を使って、歌舞伎の舞台の構造について学びました。花道や廻り舞台を触って形を確かめます。
歌舞伎独特の効果音である「ツケ」についてもお話ししました。
手に持っている2本の「ツケ木」を「ツケ板」に打ち付けて、役者の動作や物音を強調します。
次は、いよいよ鳴物の演奏を体験します。
プロの演奏家の方の演奏・解説を聞いた後に、それぞれの楽器を触って、形状や演奏方法について学んでいきました。
ゆっくりと小鼓を触ってみます。
手で触れた感触と音が結びついて、小鼓がどのような楽器か知ることができたのではないでしょうか。
その後は、二つのグループに分かれてワークショップを行いました。
一つ目のグループでは、引き続き、さまざまな鳴物を触ったり演奏したりしました。
まずは、大太鼓。触ってみて大きさを確かめてから、バチを持ちます。
みんな大変上手に演奏していました。
カラス、ニワトリ、虫などの鳴き声を表現する「擬音笛」についても知ることができました。
笛を手に取り、形を確認しつつ「えー!どうしてこんな音が出るんだろう?」と驚く子も。
もう一つのグループは別室で、江戸東京博物館にある歌舞伎に関する展示について紹介しました。
助六の舞台の模型は、12代目市川團十郎さんにポーズをご指導いただいて再現したものです。
また、歌舞伎は役者だけでなく様々な職人がかかわっています。当館の模型も小道具や衣裳、かつらなどはこうした職人さんが手掛けています。
江戸時代の浮世絵についても触図を使いながらお話ししました。
東洲斎写楽は短い期間に多くの歌舞伎役者を描いたことで知られる絵師です。
「市川鰕蔵(えびぞう)の竹村定之進」の触図を触ってみると、衣裳に市川家が用いる「三升(みます)」の紋が描かれていることがわかります。
続いて、浮世絵がどのようにつくられるか、力士を描いた浮世絵の触図と版木の複製を触って比べながら紹介しました。
体の線や、化粧まわしの模様などを指でなぞって、「ほんとだ同じだ!」と、版木が実際に使われて浮世絵が出来上がることを実感していました。
最後は、みんなで様々な鳴物を自由に演奏しました。
2月には、実際に歌舞伎の鑑賞をしたそうです。
今回の体験も思い出しながら、楽しく鑑賞してもらえたようです。