かわら版は瓦に書かれていた?(2004年)

2015/06/08

 かわら版は、江戸時代から明治にかけて出版された庶民向けの情報印刷物です。 「かわら版」という呼称は幕末になってからで、読売(よみうり)や絵草紙(えぞうし)、摺物と呼ばれることが多かったようです。幕府の出版統制に反して、時事的な情報を即時に人々に提供したもので、製作者が記載されていない場合が多く、大火、外国船の来航、大地震などの記事があります。名前の由来については、「江戸時代の瓦版は(中略)粘土に文字・絵を彫り、瓦のように焼いたものを原版とした粗末な印刷物というのが語源であるが、実際には木版であった。」とあります[4]。また、早稲田大学で開催された「幕末・明治のメディア展 -新聞・錦絵・引札-」では、かわら版を「実際に土を固めた版を用いた摺りものもあるが、この種の摺りもののほとんどは木版によるものであった。しかし、浮世絵や書物の版木のように精緻なものでなく、一見粘土板を用いたと思われるような粗悪なものであることが瓦版と称される摺りものに共通していることといえよう。」とあります。(https://www.wul.waseda.ac.jp/TENJI/virtual/bakumei/11/

詳しくは参考資料をご参照ください。(2025/3/24一部修正)

 

(参考資料)

[1] 『ニュースの誕生 かわら版と新聞錦絵の情報世界』(木下直之他編 東京大学総合研究博物館 1999年 M3632/TO-3/8-9 p.18)

[2] 『かわら版物語-江戸時代マスコミの歴史-』(小野秀雄著 雄山閣出版 1988年 0702/1/88 365p)

[3] 『江戸の情報屋 幕末庶民史の側面』(吉原健一郎著 日本放送出版協会 1978年 2105/193/78 229p)

[4] 『印刷博物誌』(トッパン印刷 2001年 7492/L8/001 p.528-531 瓦版、p.534 瓦版の出現)

[5] 『錦絵のちから 幕末の時事的錦絵とかわら版』(富澤達三著 文生書院 2004年 7218/413/004 p.24 かわら版の定義)

[6] 『かわら版で読み解く江戸の大事件』(森田健司/著 彩図社 2015年 2105/1711/0015 p.17-18)

[7] 『江戸大変 かわら版 天の巻』(稲垣史夫監修 平凡社 1995年 2105/0796/0001 p.74)

 (備考)

東京大学社会情報研究センター(http://www.center.iii.u-tokyo.ac.jp/)小野秀雄コレクション https://da.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/portal/assets/b05724f4-5c9f-4651-8c01-7f4a5226af90 (2025/2/18確認)
早稲田大学図書館(https://www.waseda.jp/library/) 幕末明治のメディア展http://www.wul.waseda.ac.jp/TENJI/virtual/bakumei/ (2025/2/18確認)

  (レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000013890