江戸時代の舟運で使用した小舟を上流に移動させるには。(2003年)

2015/06/08

 舟運で使った小舟は、河川の遡航に適した細長い船型の喫水の浅い船で、高瀬舟とよばれています。図録『富士川の舟運 第34回企画展』(富士市立博物館・M54/FU-4/11)には、富士川の舟運についての資料と詳しい解説があります。 同書によると、川をさかのぼるのには、舳先に綱をつないだ舟を川岸を歩く船頭が曳くという方法をとり、下りの場合一日あれば到着するところでも、上りでは四日もかかった場所もあったようです。 舟の曳き方は、一人が押上竿で舟を押し、残りが舳先につないだ綱を胸にかけて前かがみに曳きました。綱は肩に斜めにかけるのではなく、舟の重みで後に引っ張られたときにすぐ脱げるように、輪にして首から胸にかけていました。 船頭は、舟を渾身の力をこめて曳けるように、アシナカ(足半)と呼ばれるかかとのない草履を履きました。また、客を乗せて舟を曳き商売をする曳舟もあり、その模様は歌川広重の浮世絵「名所江戸百景 四ツ木通用水引ふね」などに描かれ、図録『葛西用水 曳舟川をさぐる』(葛飾区郷土と天文の博物館・ M3622/KA-2/70)で紹介されています。

 

(参考資料)

『富士川の舟運 第34回企画展』(富士市立博物館 1997年 M54/FU-4/11)

『葛西用水 曳舟川をさぐる』(葛飾区郷土と天文の博物館 2001年 M3622/KA-2/70)

船の科学館  http://www.funenokagakukan.or.jp/window open  (2014/3/31確認)

 

(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000013888window open