2015/06/08
『助六由縁江戸桜』や『籠釣瓶花街酔醒』などに登場する吉原の桜は、実際に江戸時代にもあったのでしょうか?
浮世絵等にも描かれているように、江戸時代、吉原の桜は名物となっていました。しかし、それは移植された桜の木でした。毎年三月一日に仲の町の通りに植え込み(二月下旬頃から根付きのまま移し植えて開花の時期を三月一日と三日の紋日に合わせて、客寄せの催しとしたとの説もあり)、下草に山吹を添え、青竹の竹垣をめぐらし、中に雪洞を立てたのです。
『江戸名所花暦』(備考※1)によると葉桜になっても見物客は絶えなかった様ですが、散った桜の木は抜かれ、翌年また植えられました。江戸中期ごろに始まったと考えられます。
(参考資料)
『江戸名所花暦』(岡山鳥著 長谷川雪旦画 今井金吾校注 八坂書房 1979年 2913/15/79 p.34-38)
『図説浮世絵に見る江戸吉原』(藤原千恵子、佐藤要人監修 銀河社編 河出書房新社 1999年 7218/373/099 p.82-83)
『江戸吉原誌』(興津要著 作品社 1984年 3849/2/84 p.86-88)
『日本史おもしろ百貨店 江戸と江戸ッ子』(秋山忠彌著 新人物往来社 1983年 2100/314/83 p.167)
『随筆百花苑 第12巻 花街篇』(森銑三他編 中央公論社 1984年 0810/13/12-S00 p.71)
『浮世絵でめぐる江戸の花 見て楽しむ園芸文化』(日野原健司,平野恵/共著 誠文堂新光社 2013年 7218/516/0013 p.158-161)
(備考)
※1『江戸名所花暦』(国立国会図書館) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/763659/24 (2015/3/17確認)
歌舞伎座「江戸食文化紀行」 http://www.kabuki-za.com/syoku/2/no129.html (2010/10/24確認)
TOKYO DIGITAL MUSEUM(江戸東京博物館所蔵)
「東都吉原全盛桜図」歌川国安画 http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/app/collection/detail?id=0110200012&sr=%8B%67%8C%B4&w=%8D%F7 (2014/3/11確認)
「江戸名所 吉原仲の町桜時」歌川広重画 http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/app/collection/detail?id=0191210144&sr=%8B%67%8C%B4&w=%8D%F7 (2014/3/11確認)
『助六由縁江戸桜』演目紹介(歌舞伎 on the web) http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/930?tab=home (2016/3/18確認)
(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000054342