2015/06/08
歌舞伎においては、「病気である」という演出表現として、「病鉢巻」(備考※1)というこしらえがありますが、これは「紫縮緬の鉢巻きを頭の左で結ぶのが約束」(【資料1】『歌舞伎ファッション』)です。(ただし團十郎型の『寺子屋』の松王丸は「箱結び」にする。) 紫の鉢巻をする扮装では「助六」(備考※2)が有名ですが、こちらは結び目が右とされており、病気を表すための演出ではなく「若衆のしるし」(【資料2】『歌舞伎をつくる』)、「若衆が成人した時のしるしか」(【資料3】『楽屋のことば』)と言われます。左結びの助六の錦絵が描かれている点については、【資料2】 に解説があります。
(参考資料)
【資料1】『歌舞伎ファッション』 金森和子文 吉田千秋写真 朝日新聞社 1993年 7746/17/93 (p.26)
【資料2】『歌舞伎をつくる』 服部幸雄編 青土社 1999年 7746/21/99 (p.93-95)
【資料3】『楽屋のことば』 戸板康二著 駸々堂出版 1986年 7740/166/86 (Notes)
※1「清書七假名 もちつき夕霧伊左衛門」歌川豊国(三代)画 安政3年(TOKYO DIGITAL MUSEUM) http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/edohaku/app/collection/detail?id=0189200795&w=%97%5B%96%B6 (2015/4/14確認)
※2「助六由縁江戸桜 花川戸助六」歌川国明画 文久2年(TOKYO DIGITAL MUSEUM) http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/edohaku/app/collection/detail?id=0189200819&w=%8F%95%98%5A (2015/4/14確認)
「亡き許嫁の小袖を抱いてさまよう安倍保名」(歌舞伎美人) http://www.kabuki-bito.jp/special/secom/06/no1.html (2015/4/14確認)
(関連事例)「江戸紫はなぜ流行したのか。」(江戸東京博物館図書室) http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000029105
(歌舞伎を調べるリンク)
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 http://www.waseda.jp/enpaku/index.html (2014/4/2確認)
松竹大谷図書館(松竹株式会社) http://www.shochiku.co.jp/ (2014/4/2確認)
伝統芸能情報館(図書閲覧室) http://www.ntj.jac.go.jp/useguide/lib.html (2014/4/2確認)
(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000028297