2015/06/08
犬の形をした張り子細工の玩具を犬張子と言います。子どもの祝い事に犬張子を贈った理由としては、犬が「正直で魔を除き、主恩を忘れず、お産が軽くて生育がよい」(【資料1】『日本郷土玩具事典』)とされたためです。元来「災厄を負わせるものとして、貴族が身辺に置いたり、小児の枕頭に置いたりしたもの」(【資料2】『図説日本の人形史』)ですが、時代が下って江戸時代頃には粗製化され、一般的な玩具として広まりました。「明治の末ころまでは出生の子どものため、宮詣りを行い親類縁者への挨拶をするとき、この玩具は祝品として贈られたものであった」(【資料4】『日本の人形と玩具』)と言います。また、大正年間から昭和の初め頃までは「でんでん太鼓を生麻で結びつけ」(【資料3】『日本人形玩具辞典』)贈る風習がありました。
(参考資料)
【資料1】『日本郷土玩具事典』 西沢笛畝著 岩崎美術社 1989年 7599/15/89 p.52
【資料2】『図説日本の人形史』 山田徳兵衛編 東京堂出版 2001年 7590/78/001 p.26
【資料3】『日本人形玩具辞典』 斎藤良輔編 東京堂出版 1968年 7590/25/68 p.215-217
【資料4】『日本の人形と玩具』 西沢笛畝著 岩崎美術社 1983年 7590/3/83 p.154
【資料5】『東京都江戸東京博物館調査報告書 第6集 犬張子』 東京都歴史文化財団,東京都江戸東京博物館編 東京都歴史文化財団,東京都江戸東京博物館 1998年 M3624/TO-3/95-6
【資料6】『江戸からおもちゃがやって来た』千葉惣次著 晶文社 2004年 7599/27/004
(備考)
犬張子(江戸東京博物館収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-18364.html
(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000025588