2015/06/08
「バブルの末期から”一両は今の十万円”という比較が親しみを込めて説明されています」が、「一両は何万と想定することは無理」(【資料1】『お旗本の家庭事情と暮らしの知恵』)と言えます。なぜなら、現代と当時とでは社会状況が全く異なるためです。つまり、江戸時代の貨幣価値を現代に置き換えるのは不可能とお答えするほかありません。
おおまかな目安で良いという場合は、【資料2】『時代考証辞典』【資料9】『江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた 誰も知らないホントの姿』にもあるように、米などの物価を基準に推察する方法があります。【資料3】『江戸物価事典』をご参考ください。【資料4】『江戸時代館』に文化文政期に一両で買えるものが列挙してあります。ただし、大工の日当からだと一両=30万、かけそばからで15万(【資料5】『大江戸「懐」事情 知れば知るほど 』)など、換算する対象によって幅があり、時代によっても大きく異なるので、あくまでも目安として考えることが必要です。【資料10】『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』では現代の賃金から換算する価値を「現代感覚」、米価から換算する価値を「現在価値」と分けて考えています。
江戸時代の貨幣制度については参考資料【資料6】~【資料8】等をご覧ください。
(参考資料)
【資料1】『お旗本の家庭事情と暮らしの知恵』小川恭一,つくばね舎 1999年 105/1056/99 (p.33-37「金一両は今の十万円が妥当か)
【資料2】『時代考証辞典』稲垣史生著 新人物往来 1991年 2105/11/91 (p.59「俸禄を現在の金に直す法)
【資料3】『江戸物価事典』小野武雄著 展望 1979年 3221/62/79
【資料4】『江戸時代館』小学館 2003年 2105/1128/003-S00 (p.420文化文政期に一両で買えるものが列挙してあります。)
【資料5】『大江戸「懐」事情 知れば知るほど 』小林弘忠著 実業之日本社 2003年 2105/1046/003 (p.268-9「一両の価値と複雑な交換レート」)
【資料6】『お金の玉手箱』国立歴史民俗博物 1997年 M35/KO-2/70
【資料7】『かねは天下のまわりもの江戸時代の貨幣制度をさぐる』千葉県立関宿博物 1998年 M35/CH-17/8
【資料8】『お金でさぐる日本史2』板倉聖宣監修松崎重広著 国土社 1998年 2100/439/5
【資料9】『江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた 誰も知らないホントの姿』八幡和郎 臼井喜法著 ベストセラーズ 2005年 2105/1273/005 (p.102-105様々な物価から換算)
【資料10】『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』磯田道史著 新潮社 2003年 2105/1191/003 (p.53-56「現在の価値になおすと」)
(備考)
貨幣の専門博物館「日本銀行金融研究所 貨幣博物館」 http://www.imes.boj.or.jp/cm/history/historyfaq/ に「江戸時代の一両の現在価値はいくらですか」というQ&Aがあります。(2014/3/28確認)
(レファレンス協同データベース版)
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000013860