2006年08月01日(火)〜10月09日(月)
2006年08月01日(火)〜10月09日(月)
激動の時代を生きた英雄たち -史実と文物が彼らの時代を物語る-
「彩色跪射俑(さいしききしゃよう)」
『史記』は、前漢の司馬遷(BC145~BC87?)が著した中国最初の通史で、伝説の五帝から前漢の武帝までの歴史を著述した全130巻の大著です。日本でも、中学・高校の漢文や世界史で誰もが一度はふれたことがあり、歴史書としてはもちろんのこと、人生訓や処世術を学ぶ教養書としても読み継がれ愛されてきました。近年では、秦始皇帝の兵馬俑発見をはじめ、最新の科学調査で『史記』の記述に近い地下宮殿の実在の可能性が高まるなど、考古学と密接に関わりあいながら中国古代の世界を明らかにしています。
本展は、『史記』を背景に、最新の文物資料を展覧して文献史学と考古学の接点を探り、新たな歴史像を示そうとするものです。春秋・戦国時代から、司馬遷が生き執筆した前漢・武帝時代までの約700年間 (BC770~BC87年)に焦点をあて、『史記』との接点となる各時代を代表する彫塑(ちょうそ)、装飾品、武具、生活用品、建築遺物など、日本初公開 を多数含む120件の厳選された文物資料を多角的に紹介します。
特に、剥落(はくらく)の危険から中国国内でも常設公開していない彩色兵馬俑(跪射俑)が、今回日本とドイツで世界同時初公開となります。これまで土色の世界と思われていた秦始皇帝の兵馬俑は、実は極彩色の世界でした。 会場では、VR(バーチャルリアリティ)シアターで当初の鮮やかな彩色兵馬俑軍団の姿を再現し、現地では不可能な距離や角度から眺めることによって、その圧倒的なスケールを味わうこともできます。始皇帝、項羽、劉邦(りゅうほう)、呂后(りょごう)、文景(ぶんけい)の治、そして武帝の時代へ、中国の壮大なる歴史の一端をご覧下さい。
開催期間 | 2006年8月1日(火)~10月9日(月・祝) | ||||||||||||||||||||
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開催場所 | 江戸東京博物館 1階 企画展示室 〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1 JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営大江戸線両国駅A4出口徒歩1分 都バス 錦27・両28・門33系統「都営両国駅前」徒歩3分 |
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開館時間 | 午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで) ※入館は閉館の30分前まで |
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休館日 | 毎週月曜日(ただし9月11日・18日、10月9日は開館) | ||||||||||||||||||||
お問合せ | TEL:03-3626-9974(代表) | ||||||||||||||||||||
主催 | 財団法人東京都歴史文化財団、東京都江戸東京博物館、TBS、毎日新聞社、中国陝西省文物局、中国陝西省文物交流中心 | ||||||||||||||||||||
出展協力 | 秦始皇兵馬俑博物館、陝西省考古研究所、陝西歴史博物館、漢陽陵考古陳列館、西安市文物保護考古所、咸陽博物館、咸陽市考古研究所、茂陵博物館 | ||||||||||||||||||||
後援 | 外務省、中国大使館、TBSラジオ | ||||||||||||||||||||
協力 | 王子製紙、凸版印刷、日本航空、JR 東日本 | ||||||||||||||||||||
企画 | 博報堂 | ||||||||||||||||||||
監修 | 稲畑耕一郎/早稲田大学文学学術院教授・北京大学中国古文献研究センター客員教授 鶴間和幸/学習院大学教授 |
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観覧料金 |
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込み。
*次の場合は本展覧会の観覧料が無料になります。
*小学生と都内在住・在学の中学生は、常設展観覧料が無料なので、共通券はありません。 |
驚異の地下帝国 始皇帝と彩色兵馬俑展-司馬遷『史記』の世界 出展作品リスト
1999年に発掘された彩色の兵馬俑を本展で初公開します。弩(いしゆみ)をもって待機する姿が表現されたこの彩色の兵馬俑は、剥落(はくらく)の 危険から中国国内でも未だに常設公開がされていない、大変貴重なものです。長年の研究成果により彩色の保護・定着に成功し、今回ドイツと日本での展覧が可 能になりました。
今から2100年も前に書かれた『史記』は、古来もっとも親しまれてきた歴史書です。「先んずれば人を制す」や「背水の陣」といった数多くの格言は 私たちの大きな指針となってきました。その基になった人間と王朝のドラマは、今でも私たちを惹きつけてやみません。本展では作品そのものの美術的、文化的 価値を明らかにするだけでなく、『史記』を通してその作品が有する歴史的背景に焦点が当てられます。
始皇帝陵を警備する地下軍団「兵馬俑」1 号坑の姿を、最先端CGを駆使したバーチャルシアターで上映します。特に今回初公開となる、彩色兵馬俑の鮮やかな彩色をCGで復元し、兵馬俑坑が作られた 2200年前当時の姿を細密な映像クオリティで再現します。
※展覧会では、作品保護のため、会場内の照明を暗くしております。
「彩色跪射俑(さいしききしゃよう)」 |
「“皇后之璽”玉印(こうごうのじ ぎょくいん)」 |
「金柄鉄剣(きんへいてっけん)」 |
「車馬出行壁画(しゃばしゅっこうへきが)」 |
「彩色女俑(さいしきじょよう)」(部分) |
「彩色騎馬俑(さいしききばよう)」 |
(部分) |
「金牌飾(きんはいしょく)」 |
ここでは、『史記』と考古学の接点に基点をおく本展の序章として、今から2100年も前に書かれた『史記』と、著者である司馬遷を紹介するとともに、平安 時代末期に日本で書写された貴重な『史記』断簡だんかんを初公開します。また、現在では失われた当時の竹簡(ちっかん)を復元し、この大著の全貌に迫りま す。
戦国時代は臣下が君主に変わって政治を行い、強国があいついで王となった時代です。小国で辺境の地にあった秦は、中華の国からは夷狄(いてき)の国として軽視されながら、君主権力は強力で不動でした。
展示物はこうした春秋戦国時代の秦の文物です。
秦は代々家畜を養い、馬を殖やし、西の覇者となりました。中原の文化を取り入れながら、西方遊牧民の素朴さをもち備え、さらに西方との交易の利も得ていま した。今回出展される《金柄鉄剣》などの逸品からも、秦が決して辺境の小国家にとどまっていなかったことを感じさせます。またこの時代の《騎馬俑》は、巧 みに馬を乗りこなした秦軍の兵士を想像させます。
また最新発見の文物として、現在も発掘の途中である始皇帝の祖母とされる夏太后の墓から出土した、貴重な帯鉤を3件展示します。
始皇帝は、50歳で亡くなるまでの前半26年は戦国秦の王として、後半12年は中国史上最初の皇帝として君臨しました。戦国時代の混乱を統一し、度量衡 (どりょうこう)・文字・車軌(しゃき)の規格化、郡県制の実施などの統一事業を実施した君主として評価される一方、東方六国を滅ぼし、強権を発動して、 焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)、長城建設を行うなど民衆を犠牲にした過酷な暴君としても位置づけられてきました。その始皇帝が生前みずから建設を監督した という陵墓が、1974年に発見された兵馬俑坑によって世界の注目と関心を浴び、以来多様な角度から調査研究がなされてきました。
今回初公開となる1999年に発見された彩色跪射俑(さいしききしゃよう)の展示は、その迫力とともに、今までの兵馬俑ではうかがえなかった彩(いろどり)豊かな世界へと誘ってくれます。文官俑(ぶんかんよう)からは始皇帝の行政を支えた官吏の姿をうかがうことができます。また、水辺に群がる鳥の姿を模 した水禽坑(すいきんこう)の発見によって、地下世界にも自然を意識した世界を再現していたことがわかりました。
ここでは最新の科学調査による、驚くべき地下帝国の全貌に迫ります。
高祖劉邦(こうそりゅうほう)は、現在の江蘇(こうそ)省の沛(はい)県で生まれました。秦が滅びるまでは沛公、その後、項羽との楚漢(そかん)の戦いのときは漢王として行動しました。
司馬遷が『秦始皇本紀』と『高祖本紀』の間にわざわざ『項羽本紀』を入れたのは、秦を亡ぼしたのは項羽の楚であり、その楚から漢が出てきたことをいいた かったからです。項羽に関わる考古資料はほとんどありませんが、背後にあった楚の文化を示すものはあります。展示した楚の黄金貨幣がそうであり、漢代の女性俑に見られる腰の細い服装も楚の文化であり、楕円形の縁のある耳杯もそうでした。着衣式人俑も、木俑に絹の服を着せた楚の文化からきているのでしょう。
項羽に勝利した劉邦は、はじめて皇帝に即位し、のちに高祖あるいは高皇帝と呼ばれました。その劉邦を支え、劉邦亡き後に政権を握ったのが呂后です。高祖が 病になってから皇后として国政を任され、高祖の死後は男子を恵帝として即位させ、太后として政治を握りました。この時期の考古資料もそう多くありません。 展示している「皇后之璽(こうごうのじ)」玉印は呂后の陵墓の近くから発見され、呂后印とされている貴重なものです。また、漢代の彩色兵馬俑は秦代のよう に写実的ではありませんが、兵士の顔はあきらかに始皇帝の兵士俑の顔と異なり、江蘇省の沛県、豊県を中心とした劉邦集団の出自を匂わせています。
文帝(ぶんてい)・景帝(けいてい)父子の約40年の安定した治世を文景の世と言います。文帝はのちに二四孝の一人に数えられ、3年も病床にあった母を、 夜も眠らず、衣服も脱がず、薬は嘗なめたうえでなければ勧めずに看病した孝行話はよく知られています。呂太后の死後、皇帝に迎えられ、身体の肉を削ぐ刑罰 や田租の廃止、山沢の資源の解禁、穀倉からの貧民救済などの善政を行ないました。匈奴の侵入も和親策で乗り切り、内外の安定期でした。
つづく景帝は、同姓の劉氏諸侯王の領地を削減したために呉楚七国の乱を招きましたが、諸侯王国の分封を許可した推恩の令を下してからは、安定した治世となりました。
始皇帝によって始められた帝王の陵墓制度は歴代の皇帝に引き継がれ、兵馬を模した兵馬俑は漢代の皇帝陵や諸侯王の陵墓からも出土しています。景帝の陵墓には4万点を超える人物俑、動物俑などが計画的に副葬されていました。
呂太后の時代を一世と数えれば、武帝は五世となります。まさに司馬遷にとっては同時代であり、生没年もほぼ重なります。司馬遷は郎中、太史令、中書令として武帝という皇帝を絶えず見ていました。
武帝は前漢王朝樹立後、半世紀を経て即位し、即位期間も半世紀と長く、秦の制度を踏襲していた前漢前期の政治を大きく改め、内外に強力な帝国体制を固めました。この時代に、西域への道が張騫(ちょうけん)という一人の人物によって開かれました。今回展示している大きな駱駝(らくだ)の陶俑は漢代では大変珍 しいもので、いわゆるシルクロードによって行われた東西交渉の象徴です。
VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の頭文字をとった略称で「仮想現実」と訳されています。仮想現実の空間の中には、現実を超えた可能性が秘められ ています。まるでその場に居るような感覚から、実際には見ることの出来ない体験までを可能にする高度なデジタル表現を使った「映像表現技術」です。東京会 場では、幅4メートル×高さ3メートルの大型スクリーンに、陝西省西安の兵馬俑博物館1 号坑の現在の様子を再現した映像を上映します。
また、兵馬俑坑が作られた2200年前の兵士たちに施された彩色を復元し、時空を超えた秦の時代の兵馬俑坑を映像体験することが出来ます。
今回の「驚異の地下帝国 始皇帝と彩色兵馬俑展-司馬遷『史記』の世界」ではPDAを使用したマルチメディア・ガイドをご使用いただけます。従来の音声ガイドとまったく同じ簡単な操作で、音声ガイドの他に文字や画像が手元の画面に表示され、展覧会をより豊にお楽しみいただくことが出来ます。
テレビ番組などでお馴染みの人気シェフ、脇屋友詞氏による中国茶のデモンストレーション。中国茶の歴史と、脇屋氏ならではの愉しみ方、お茶を使った簡単なデザートを紹介。
会場で販売中の特製ブレンド茶の試飲もあります。
日 程 | 9月21日(木) 午後2時~午後3時30分 <終了しました> 当日受付を午後1時45分から開始します(定員に達し次第締め切ります) |
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講 師 | 脇屋 友詞(Wakiya 一笑美茶樓オーナーシェフ) |
進 行 | 海保 知里(TBSアナウンサー) |
会 場 | 江戸東京博物館1階会議室(定員130名限定) |
受講料 | 1000円 |
応募締切 | |
申込み方法 | 住所、氏名(全員分)、電話番号、年齢、希望講座名を明記の上、往復はがきでお申し込み下さい。 1枚のはがきにて2名までの応募とさせていただきます。 申し込みが多数の場合は、抽選になります。 【申込み先】 〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1江戸東京博物館 彩色兵馬俑展イベント係 |