特別展 1F

2005年08月30日(火)〜10月16日(日)

美しき日本-大正昭和の旅

美しき日本-大正昭和の旅

 

日本の風景を伝えた川瀬巴水の版画や、幻灯原板、ポスター、旅行用品など、 大正から昭和の旅にかかわる約600点の資料から、 日本の「美」と「旅」にせまる展覧会です。

 

ポスター「Beautiful Japan」

ポスター「Beautiful Japan」 昭和5年(1930) 吉田初三郎画 鉄道省発行 個人蔵

 

東京都江戸東京博物館(東京・両国)では、平成17年8月30日(火)から10月16日まで、「美しき日本-大正昭和の旅」展を開催いたします。 現在、わが国では団塊世代が定年を迎え、この世代の国内外への旅行が盛んになってきています。また、国や地方公共団体では、外国人観光客の誘致を重視し、旅行・運輸業界などと連動した大々的なキャンペーンが行なわれ、観光に対する社会的関心は、高まりを見せています。つかの間の平和をむかえた大正から昭和の時期も、交通網が発達し、観光地が整備され、観光ブームがおこりました。また、大正元年にジャパン・ツーリスト・ビューローが設立され、外国へ向けた誘致活動も行なわれるようになり、観光客は海を渡ってやってくるようになりました。 当時、日本の旅は、国内外の人びとから「美しい」イメージでとらえられていました。大正なかば、世界一周を終えた観光団の船内アンケートでも、日本は、最も美しい国とされたほどでした。そして、自然や伝統文化の美が、日本の観光のセールスポイントにもなり、さかんに宣伝されるようになっていったのです。本展は、美しい日本の旅を伝えた版画家川瀬巴水の作品や、外国人誘致のために制作した映画やポスター、郷土の名産品など約600点の資料から、当時の観光ブームの背景と展開を取り上げます。現代の観光の状況や、みなさんご自身の旅の風景と重ねてご覧いただければ幸いです。

開催概要

開催期間 2005年8月30日(火)~ 10月16日(日)
会場 江戸東京博物館 1階 企画展示室
休館日 毎週月曜日(ただし、9月19日、10月10日は開館し、翌日休館)
開館時間 午前9時30分~午後5時30分(木曜・金曜~午後8時  入館は閉館の30分前まで。)
主催 財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館 毎日新聞社
出品点数 約600点
観覧料金
企画展観覧券 企画展・常設展
共通観覧券
一般 900円(720円) 1,200円(960円)
大学・専門学校生 720円(570円) 960円(760円)
中学生(都外)・高校生
65歳以上
450円(360円) 600円(480円)
小学生・中学生(都内) 450円(360円) なし

 

※ ( ) 内は20名以上の団体料金。

 

※次の場合は観覧料が無料です。
未就学児童、身体障害者・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方。

 

ほぼ日刊イトイ新聞で「美しき日本―大正昭和の旅」展について紹介されています
詳しくはこちら

「美しき日本-大正昭和の旅」展示構成

 第1章 旅のはじめに-プロローグ

大正昭和の時期には、一般の人びとのあいだにも観光が広まりました。 この章では、旅へとかきたてるデザイン性にすぐれたポスター、パンフレット 旅行用品などから旅ブームの展開について紹介します。

 

「旅」創刊号(復刻版)

「旅」創刊号(復刻版)
1924(大正13)
日本旅行文化協会発行
江戸東京博物館蔵

スキー道具

スキー道具
昭和前期
江戸東京博物館蔵

 

小田原急行電車開通記念ポスター

小田原急行電車開通記念ポスター
1927年(昭和2)
吉田初三郎画
江戸東京博物館蔵

 

 第2章 旅のいざない-外国人がつたえた日本

大正元年にジャパン・ツーリスト・ビューローが設立され、海外へ向けた積極的な誘致が行われ、外国人旅行者も日本の観光地を訪れるようになりました。 この章では、旅行写真家による幻灯原板など、日本を訪れた外国人の記録から、当時の国内観光の実態をとらえます。

 

幻灯原板「Dream Picture」

幻灯原板「Dream Picture」
昭和前期(1935頃)江戸東京博物館蔵

帝国ホテル案内パンフレット

帝国ホテル案内パンフレット
昭和前期 江戸東京博物館蔵

 

 第3章 旅のイメージ-川瀬巴水とその時代

大正から昭和にかけて活躍した、版画家川瀬巴水。風景版画を多く手がけたことから、「旅情詩人」とも「昭和の広重」とも呼ばれました。彼の作品は、詩情豊かに日本の風景をとらえ、浮世絵の伝統的な方法で制作されました。この章では、江戸東京博物館所蔵の川瀬巴水作品を中心に紹介し、巴水が伝えた日本の風景をたどります。

 

東京十二ヶ月 麻布二の橋の午後

東京十二ヶ月 麻布二の橋の午後
大正10年(1921)
川瀬巴水画 江戸東京博物館蔵

日本風景選集 天草より見たる温泉ヶ嶽

日本風景選集 天草より見たる温泉ヶ嶽
大正11年(1922)
川瀬巴水画 江戸東京博物館蔵

 

 第4章 旅のひろがり-観光の進展

昭和2年4月、新聞社の企画で「日本新八景」の選定が、葉書の人気投票によってはじめられ、最終的には総人口の1.8倍の投票がなされました。このように人びとは旅を楽しむだけではなく、観光産業に係わり、国内の新しい観光の掘り起こしにも係わっていました。この章では、日本各地で生み出された名勝、名産を取り上げ、観光ブームの実態にせまります。

 

長崎古河人形 阿茶さん

長崎古河人形 阿茶さん
大正期
江戸東京博物館蔵

「版芸術 郷土玩具特集号」

「版芸術 郷土玩具特集号」
昭和11年
江戸東京博物館

 

 第5章 旅のうつろい-エピローグ

戦争、そして戦後の高度経済成長をとおし、変化していった旅行について、現代の状況をとらえます。

 

<会期前限定 今週のみどころ>

ここでは、「美しき日本-大正昭和の旅」展の展示資料の中から、みどころを解説します。
画像は毎週更新いたします。

 

第一週 7月4日~7月10日 「版画家 川瀬巴水(かわせはすい)が伝えた日本 1」
「塩原あら湯路」

「塩原あら湯路」
大正8年初夏(1919年)当館蔵

「旅みやげ第一集 金沢浅野川」

「旅みやげ第一集 金沢浅野川」
大正9年秋(1920年)当館蔵

「東京十二ヶ月 麻布二の橋の午後」

「東京十二ヶ月
麻布二の橋の午後」
大正10年(1921年) 当館蔵

 

「旅みやげ第二集 奈良二月堂」

「旅みやげ第二集 奈良二月堂」
大正10年2月12日 当館蔵

「日本風景選集 鹿児島桜しま」

「日本風景選集 鹿児島桜しま」
大正11年(1922) 当館蔵

「清洲橋」

「清洲橋」
昭和6年(1931) 当館蔵

 

第二週 7月11日~7月17日 「アメリカ人写真旅行家による幻灯原版」
華厳の滝

華厳の滝
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

鎌倉大仏

鎌倉大仏
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

富士山

富士山
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

 

京都の竹林

京都の竹林
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

尾道

尾道
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

客車の中

客車の中
(幻灯原板「 Dream Picture 」
のうち)
1935 年頃 当館蔵

 

第三週 7月18日~7月24日、第四週 7月25日~7月31日 「絵葉書にみる客船の旅」
秩父丸絵葉書

秩父丸絵葉書
昭和5年(1930)ごろ
当館蔵

秩父丸絵葉書 1等居室

秩父丸絵葉書 1等居室
昭和5年(1930)ごろ
当館蔵

秩父丸絵葉書 船内プール

秩父丸絵葉書
昭和5年(1930)ごろ
当館蔵

 

秩父丸絵葉書

秩父丸絵葉書
1等スモーキングルーム
昭和5年(1930)ごろ
当館蔵

秩父丸絵葉書

秩父丸絵葉書
1等ダイニングルーム
昭和5年(1930)ごろ
当館蔵

秩父丸絵葉書

秩父丸絵葉書
1等ラウンジ
昭和5年(1930)ごろ 
当館蔵

 

第五週 8月1日~8月7日 「 日本八景ブーム」
「日本八景発表」

「日本八景発表」
昭和2年7月6日 
東京日日新聞社

「日本八景宣伝車」(写真)

「日本八景宣伝車」(写真)
昭和2年
雲仙お山の情報館提供

「日本八景木曽川」絵葉書 

「日本八景木曽川」絵葉書
昭和2年
大阪毎日新聞社ほか発行 個人蔵

 

「日本八景別府温泉」絵葉書

「日本八景別府温泉」絵葉書
昭和2年
大阪毎日新聞社ほか発行 個人蔵

「日本八景 華厳の滝」

「日本八景 華厳の滝」
昭和3年
高木保之助 新興大和絵刊行会発行
個人蔵

「日本二十五勝 天龍峡」 

「日本二十五勝 天龍峡」
昭和2年
大阪毎日新聞社ほか発行
毎日新聞社蔵

 

第六週 8月8日~8月14日、 第七週 8月15日~8月21日 「 版画家 川瀬巴水(かわせはすい)が伝えた日本 2」
日本紹介ポスター「宮島」

昭和7年(1932)
川瀬巴水(版画)
野口謙次郎(台紙)
鉄道省発行
株式会社渡邊木版美術画舗蔵

川瀬巴水写真

川瀬巴水写真
株式会社
渡邊木版美術画舗提供

旅みやげ第二集  晴天の雪(宮嶋)

旅み
晴天の雪(宮嶋)
大正10年(1921)2月17日
川瀬巴水

 

東京二十景 芝増上寺

東京二十景 芝増上寺
大正14年(1925)
川瀬巴水

東京二十景 馬込の月

東京二十景 馬込の月
昭和5年(1930)
川瀬巴水

「宮島」(水彩画)

「宮島」(水彩画)
昭和前期
川瀬巴水
株式会社渡邊木版美術画舗蔵

 

第八週 8月22日~8月28日 「旅をいざなうポスター」
Beautiful Japan(美しき日本)

Beautiful Japan(美しき日本)
昭和5年(1930) 吉田初三郎
鉄道省発行  個人蔵

小田原急行電車開通記念

小田原急行電車開通記念
昭和2年(1927)
吉田初三郎
小田原急行鉄道発行
当館蔵

犬山のさくら

犬山のさくら
昭和5年(1930) 吉田初三郎
名鉄電車発行 個人蔵

 

キャンピングの季節が参りました

キャンピングの季節が参りました
昭和初期
鉄道省東京鉄道局発行
個人蔵

Visit Japan

Visit Japan 
昭和5年(1930)頃 
日本郵船株式会社発行 
横浜マリタイムミュージアム蔵

Around the world

Around the world  昭和7年(1932) 
ジョージ・ハミングス  
日本郵船株式会社発行 
横浜マリタイムミュージアム蔵

関連事業

【講座】※えどはくカルチャー主催

伝えられた「美しき日本」のイメージ
日時 9月15日(木)午後2時~午後3時30分
会場 江戸東京博物館 会議室
講師 小山 周子(学芸員)
定員 130名
受講料 1,000円(800円)
講座コード 0507-7-01
応募締切 8月30日(火)   <終了しました>

 

日本全国・名建築の旅
日時 9月19日(月・祝)午後2時~午後4時
会場 江戸東京博物館 会議室
講師 米山 勇 (助教授)
定員 130名
受講料 1,000円(800円)
講座コード 0507-7-02
応募締切 9月3日(土)  <終了しました>

 

昭和初期の観光ブーム
日時 9月22日(木)午後2時~午後3時30分
会場 江戸東京博物館 会議室
講師 新田 太郎 (学芸員)
定員 130名
受講料 1,000円(800円)
講座コード 0507-7-03
応募締切 9月6日(火)  <終了しました>

参加・お申込方法

往復はがきに希望講座名と講座コード、氏名、住所、電話番号、年齢をご記入の上、下記までお送りください。 1枚のはがきにて1講座・1名までの応募とさせていただきます。
※江戸博友の会、ボランティア所属の方はその旨をご記入ください。
■〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1 江戸東京博物館 えどはくカルチャー係
■お問い合わせ:03-3626-9974

 

【講演会】

映画「Beautiful Japan」が映した大正の日本

日本を紹介するために制作された無声映画「Beautiful Japan」 (展覧会場では一部を公開)。 遺されたフィルムの内容と制作について解説し、みどころをご覧いただきます。

日 時 9月10日(土)午後2時~午後3時30分
会 場 江戸東京博物館 1階映像ホール
講 師 岡田正子(映画研究家)
定員 140名
受講料 1,000円
応募締切 9月2日(金)消印有効  <終了しました>

お申込方法

往復はがきに講演会名、氏名、住所、電話番号、年齢をご記入の上、下記までお送りください。1枚のはがきにて1名までの応募とさせていただきます。
■〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1 江戸東京博物館 「美しき日本―大正昭和の旅」講演会係  
■お問い合わせ:03-3626-9974

 

【対談】

「美しき日本―大正昭和の旅」展 スペシャルトーク

昭和2年の「日本新八景」選定のムーブメントほか、展覧会のみどころについて、毎日新聞社本展事業担当者と当館学芸員が対談解説します。

日時 9月23日(金・祝)午後5時~午後6時
場所 江戸東京博物館 1階会議室
定 員 130名
受講料 無料 ※当日先着順です <終了しました>

 

【映像上映】

「美しき日本―大正昭和の旅」展 関連映像上映

映像ホールでは、企画展「美しき日本」展の開催期間中、関連作品を上映いたします。展示とあわせてご覧ください。

 

日時 会期中の火~金曜日 午前11時50分~ 午後2時50分~ 午後4時30分~
土・日曜日 午前11時50分~ 午後1時30分~
場所 江戸東京博物館 1階会議室
定 員 140名
受講料 無料 ※当日先着順です <終了しました>

 

作品1:「版画に生きる」 昭和31年(1956) 42分37秒
版画家、川瀬巴水(かわせ・はすい)の、作品制作行程を記録した映像です。川瀬巴水は、大正7年(1918)から昭和32年(1957)まで、600点の風景版画を制作した人物で、江戸以来の伝統的な技法を用いながら、新しい表現を追及した版画家でした。本作は、巴水の姿を追うことができる、貴重な作品といえます。
企画展示室内では、川瀬巴水の風景版画を70点ほど展示し、大正昭和の「美しい」日本風景の数々を紹介しています。本作と合わせてぜひご覧ください。

 

作品2:「Beautiful Japan(ビューティフルジャパン)《短縮版》」 大正8年(1919)頃  41分02秒(無声映像)
大正8年(1919)に、日本政府がアメリカをはじめとする諸外国に向けて制作した映画「Beautiful Japan(ビューティフルジャパン)」の制作過程のフィルムです。大正期の日本を映した動画映像は珍しく、貴重な作品といえます。約140分の映像から40分に短縮した映像を上映いたします。

 

企画展示室内では、大正から昭和初期における、日本の海外観光客誘致に関する資料を展示しています。本作と合わせてご覧ください。
※なお、企画展示室出口映像コーナーでは、「Beautiful Japan」の部分映像が会期中、ご覧になれます。

展示替え情報

■ 企画展「美しき日本―大正昭和の旅」展 展示替えリスト

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