2016年10月15日(土)〜12月04日(日)
2016年10月15日(土)〜12月04日(日)
東京都江戸東京博物館では、江戸東京の歴史と文化に関する資料を収集し、それらを未来へ伝えるために保存管理しています。また、資料が持つ様々な情報について調査研究を行い、その成果を展示などで公開しています。
企画展「市民からのおくりもの」は、博物館が新たに収蔵した資料を、みなさまにご覧いただく展覧会です。平成27年度は580点にのぼる資料を、博物館の収蔵品に加えることができました。
今回の注目資料は、将軍姫君が使った珍しい大きな鏡や、「江戸無血開城」に貢献した勝海舟直筆の手紙、老舗西洋料理店に集った文化人たちの芳名帖、昭和初期の外国人向け日本観光キャンペーンで作られた手摺り版画つきの貴重なポスターです。また、東京空襲の焼け跡を描いた159枚のスケッチは、作者のご遺族からの寄贈を受け、このたび初めて公開します。
歴史を物語る古文書から生活に身近な民俗資料に至るまで、バラエティー豊かな江戸博コレクションの世界をお楽しみください。
会期 | 2016年10月15日(土)~12月4日(日) | ||||||||||
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会場 |
東京都江戸東京博物館 常設展示室内 5F企画展示室
・JR 総武線 両国駅西口、徒歩3分・都営地下鉄大江戸線「両国駅(江戸東京博物館前)」A4出口、徒歩1分・都バス:錦 27 ・両 28 ・門 33 系統、墨田区内循環バス「すみだ百景すみまるくん・すみりんちゃん(南部ルート)」「都営両国駅前(江戸東京博物館前)」下車、徒歩3分 |
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開館時間 |
午前9時30分~午後5時30分 ※会期中展示替えがあります。 |
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休館日 | 毎週月曜日 | ||||||||||
主催 | 東京都 東京都江戸東京博物館 | ||||||||||
観覧料金 | 常設展観覧料でご覧になれます。
*( )内は20人以上の団体料金。消費税込。
*次の場合は常設展観覧料が無料です。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。
*毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は常設展観覧料が無料です。年齢を証明できるものをお持ちください。
*家族ふれあいの日(10月15日・16日、11月19日・20日)に観覧の、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)2名の料金が半額となります。
*特別展の会期中は、お得な特別展・常設展共通観覧券もございます。(特別展の料金は展覧会ごとに定めます) |
最初の駐日イギリス公使として幕末の日本を訪れたオールコックは、著書『大君(たいくん)の都』で当時の日本を観察し、独自に発達した文化や勤勉で穏やかな国民性を高く評価しました。
将軍が君臨する江戸城下には諸藩の屋敷が置かれ、大名の夫人や子女が住まっていました。決まりごとや儀礼に縛られる生活でしたが、大名家に伝えられた立派な調度品からは、将軍と大名の関係や優雅な暮らしぶりを見ることができます。
また、江戸は歴史に残る事件・事象の舞台でもありました。忠臣蔵(ちゅうしんぐら)で知られる赤穂浪士(あこうろうし)の討ち入りや地震災害など、さまざまなできごとが人びとの関心を呼び、印刷物により広く伝えられました。
この章では、総城下町江戸の姿と歴史的事件の数々を紹介します。合わせて、名工とうたわれ多くの文化人と交流した江戸の蒔絵師(まきえし)、原羊遊斎(はらようゆうさい)の作品と関係資料を展示します。
〈主な展示資料〉
梨子地葵紋蒔絵鏡巣(1698年(元禄11)) |
三葉葵紋姿見鏡(1698年(元禄11)) |
「赤穂忠臣絵巻物」(部分 江戸後期) |
佐藤与之助宛勝海舟他書簡貼交 |
原更山(羊遊斎)寿像図 |
浮世絵(うきよえ)版画は、日本が世界に誇る美術としてますます評価が高まっています。とくに多色刷りの美しい錦絵(にしきえ)は、「東錦絵(あずまにしきえ)」と呼ばれる江戸名物でした。浮世絵版画には、江戸の町の華やかさや人びとの暮らしぶりが、あざやかに描かれています。また、独特の配色と大胆な構図は、西洋の美術にも影響を与えました。
明治時代になると、浮世絵版画は次第に衰えていきましたが、新たな復興を目指す画家や版元たちの努力で、伝統に新たな美意識を加えた「新版画」が生まれます。なかでも川瀬巴水(かわせはすい)は、日本の風景を詩情豊かに描きました。昭和初期、当時の鉄道省が海外向けの観光キャンペーンを企画したさい、日本の魅力を発信する重要な役割を託されたのは、ほかならぬ巴水でした。
この章では、江戸東京博物館が新たに収集した浮世絵版画の数々をご紹介します。
〈主な展示資料〉
『青楼美人合姿鏡』より秋冬 |
「当盛十花撰」のうち牡丹 |
鉄道省観光ポスター 宮島 |
昔も今も、都市は人びとの集いの場です。古くからの江戸の聖地の一つ浅草には、寺社参詣の人が集まり、そこに盛り場ができました。浅草奥山(おくやま)には、見世物(みせもの)興行の小屋が並び、まるで生きているようなリアルな生人形(いきにんぎょう)が老若男女を驚かせました。また、人を寄せる場という意味で、落語や講談などの演芸が上演される寄席や、歌舞伎の劇場に、人びとは娯楽を求めて集い、その芸を楽しんできました。おいしい料理が並んだ食卓を囲むのも、楽しい集いです。東京に生まれた西洋料理店には、作家や芸術家などの文化人が集い、そこからモダンな文化が育まれていきました。
この章では、江戸東京の人びとが集う「場」に焦点を当てて、都市の文化をながめていきます。
コラム展示① 奉納手拭いの世界
奉納手拭いとは、神社・寺院の手水鉢(ちょうずばち)のところなどに、奉納して吊るしておく手拭いで、多くは奉納者の名前が書いてあります。ここでは、初代集古庵(しゅうこあん)を名乗った収集家、金川志ん馬(しんば)から、二代目集古庵の橘右近(たちばなうこん)に受け継がれた手拭いを展示し、文字を中心とした手拭いの豊穣なデザインや、手拭いの制作者をご紹介します。
〈主な展示資料〉
奉納手拭い 納札文庫集古庵 金川志ん馬 |
コラム展示② 西洋料理店 龍圡軒(りゅうどけん)に集った人びと
龍圡軒は、1902年(明治35)に麻布龍土町(現、港区六本木七丁目)で開店し、その後西麻布に移転、現在も営業を続けている歴史のあるフランス料理店です。ここでは、自然主義の文学者を中心とした会合「龍土会」が開かれました。会に集った作家には、国木田独歩(くにきだどっぽ)・柳田國男(やなぎたくにお)・田山花袋(たやまかたい)などがおり、「自然主義は龍圡軒の灰皿の中から生まれた」(近松秋江(ちかまつしゅうこう))と言われました。
ここに展示されるものは、同店からご寄贈いただいた資料群で、明治期より使われた大皿や、会合の寄せ書きの芳名帖、写真類があります。そこからは、龍圡軒に集った人びとが育てた文化の香りが感じられます。
〈主な展示資料〉
大皿(龍圡軒使用)(明治後期) |
1923年(大正12)年に東京を襲った関東大震災からの復興が進む中、1926年に日本の元号は大正から昭和にあらたまりました。しかしこのころから、世界的な経済不安や政治家の暗殺事件が起き、世の中は暗い時代に向かっていきます。やがて第二次世界大戦が起こり、日本も戦争の泥沼にはまっていきました。
太平洋戦争末期の1945年(昭和20)5月、東京山の手地域はたびたびに空襲にみまわれました。閑静な住宅街は、たちまち焼け野原になってしまいます。この時、一人の人物が絵筆をとりました。彼の名は、織田信大(のぶひろ)。戦国武将織田信長を祖とする子爵の家に生まれ、東京美術学校で洋画を学びました。信大は、あり合わせの葉書と絵の道具をたずさえ、目の前に広がる焼け跡の東京風景を描きました。彼の活動はおよそ1年間におよび、159枚という数を重ねました。
1945年8月に戦争が終わり、信大が描いた焼け跡の町には復興の槌音が響きました。そして高度成長期の上げ潮の中、1964年(昭和39)に東京でオリンピックが開かれたのでした。最後の章では、この戦災スケッチを中心に、戦前から戦後にかけての資料をご紹介します。
〈主な展示資料〉
東京戦災スケッチより |
企画展「市民からのおくりもの2016-平成27年度 新収蔵品から-」展みどころ
学芸員による展示解説です。お気軽にご参加ください。
日時 | 11月18日(金)、11月25日(金) 午後4時~(30分程度) |
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集合場所 | 常設展示室5階 日本橋下・朝野新聞社前 |
企画展「市民からのおくりもの2016」
将軍家の婚礼と婚礼道具-姿見鏡が映す大奥の世界
展覧会に関連した講座を開催いたします。
展覧会の理解をより深めてくれる内容となっています。ぜひご参加ください。
日時 | 11月10日(木) 午後2時~午後3時30分 |
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講師 | 畑尚子(学芸員) |
※往復はがきによる事前申込制となります。
応募方法や受講料など詳細は、東京都江戸東京博物館ホームページおよび館内配布のチラシ等でご確認ください。