2015/06/08
五月五日は「こどもの日」という言い方が今日では一般的なようです。しかし、『三省堂年中行事事典』(三省堂・3861/115/99)に「昭和二十三(一九四八)年以来この日がこどもの日として国民の祝日の一つに定められ」とあるように、古くからこう言われていたわけではありません。
五節句のひとつとしての「端午(たんご)の節句」という言い方がありますが、端午の端ははじめ、午は干支のうまの意で、月のはじめの午の日のことであり、『図説浮世絵に見る江戸の歳時記』(河出書房新社・7218/349/97)には「端午が五月五日に定められたのは、午が五に通じたからとも、端五で月の初めの五の日だからともいわれる」とあります。
「こいのぼりを江戸における風習のように書いた本があるが本当か」という質問があります。『日本を知る事典』(社会思想社・3821/8/89)には「鯉のぼりは武家の用いた吹き流しの変形にすぎない」とありますが、『ヴィジュアル百科江戸事情第1巻』(雄山閣出版・2105/59/1)には「江戸時代中期ころに、江戸で始められたものらしい」とあり、東洋文庫『東都歳事記2』(平凡社・3861/29/2)には「…近世のならはし也。出世の魚といへる諺により、男児を祝するの意なるべし。ただし東都の風俗なりといへり」と書かれています。
(参考資料)
『端午の節句 鯉のぼりと初凧 企画展』田原市博物館/編 田原市博物館 2007年 M55/TA-2/2
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『和風探索 にっぽん道具考』GK道具学研究所,山口昌伴/〔著〕 本郷秀樹/写真 筑摩書房 1990年 3830/5/90 p.40-44
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『江戸風物詩 新版』川崎房五郎/著 光風社出版 1984年 3821/197/84 p.87-88
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『心をそだてる子ども歳時記12か月』橋本裕之/監修・執筆 久保田裕道,宇野幸/執筆 荒井良二/他イラスト 講談社 2005年 3861/116/005 p.52
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(備考)
「(名所江戸百景)水道橋駿河台」歌川広重画 安政4年閏5年(江戸東京博物館:収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-1733.html
「風流五節句之内 端午」歌川国貞(初代) 天保14年頃(江戸東京博物館:収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-10511.html
「子供遊端午のにぎわい 幕末頃子供遊絵帖」江戸末期-明治前期(江戸東京博物館:収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-2241.html
「端午の節句鯉のぼり」明治後期~大正前期(江戸東京博物館:収蔵品検索) https://www.edohakuarchives.jp/detail-109.html
(レファレンス協同データベース版)http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000048891