休館中の江戸東京博物館より(藤森館長のメッセージ)

2020/04/14その他

2004_fujimori_photo 戦争、大災害、疫病の三つは、古来、歴史のスピードを上げるように作用してきた。

 

このたびのコロナがどんな点でスピードを上げることになるか予想もつかないが、歴史博物館はそうしたマイナス面を深く意識しながらも、未来のへ希望を感じ取ることができるような展示でありたい。

 

現代の都市や建築の状況を見ると、一昔前とは大きく変わり始めている。たとえば、20年前には建て替えられるはずだった赤煉瓦の東京駅が戦災前の雄姿に復原されたばかりか、駅と皇居の間に位置する駅前広場と行幸道路も美しく整備され、東京は表玄関を得ることができた。どんな都市にも、訪れた人が一度はそこに立って写真を撮りたいと思うような場が必要である。

 

東京駅が復原されてからもう8年になる今も、海外客を含め多くの来訪者が写真を撮っている。

 

人工物である建築と鬱蒼と茂る森が組になる表玄関のシーンは日本はむろん世界にも例はない。

 

歴史的建築と自然のコンビが誕生したことを嬉しく思う一方、東京でも他の大都市でも歴史的建築の取り壊しと自然の減少は続いており、国土と都市の両方で分裂した現象が起こっている可能性がある。

 

こうしたはっきりしない現代の現象を見極める時、歴史の目が役に立つはずであるが・・。

 

2020年4月14日

東京都江戸東京博物館

館長 藤森照信