明治時代の東京の活版発祥の地は築地と聞いたが、その活版印刷物にはどのようなものがあったか知りたい。(2017年)

2017/05/23

以下の参考資料では、明治時代、築地に所在していた「東京築地活版製造所」や、「平野活版製造所」(回答プロセス参照)による印刷物について掲載されている。

 

 【資料1】『「活字文明開化 本木昌造が築いた近代」図録 印刷博物館開館3周年記念企画展』

※下記「図」とあるものは写真あり

p.34図12(32)『花ノ栞』(明治35(1902)年、東京築地活版製造所)

p.35図13(100)活字見本帳、図14活字見本帳「活版見本」

p.171(008)活字見本帳(明治12(1879)年、平野活版製造所)

p.191(100)活字見本帳改刷(明治12(1879)年、平野活版製造所)

(104)活字見本帳「改正欧字略見本」(明治33(1900)年、東京築地活版製造所)

p.192(109)活字見本帳「活版見本」(明治25(1892)年、東京築地活版製造所)

p.193(113)活字見本帳「活版様式」(明治9(1876)年、東京築地活版製造所)

p.194(116)活字見本帳「新聞紙広告用電気銅版見本」新制見本第二巻第四号付録(明治33(1900)年 東京築地活版製造所)

(117)活字見本帳「西洋文字各種類見本」(明治15(1882)年 築地活版製造所)

(118)活字見本帳「増訂電気銅版見本」(明治38(1905)年 東京築地活版製造所)

(119)活字見本帳「築地活版製造所六号活字見本帳」(明治19(1886)年 築地活版製造所)

p.195(123)『稿本 国史眼』1-7(明治23-24(1890-91)年、東京築地活版製造所)

 (125)『増補 日本外史』(再版)合本(1-22巻)計12冊(明治26(1893)年 東京築地活版製造所)

p.196(128)東京築地活版製造所製明治三十七、三十九年略暦 2点(明治36、38(1903、1905)年東京築地活版製造所)

p.224(276)『明治字典』全19巻(未完)(明治18-21(1885-88)年 築地活版製造所)

 

【資料2】『印刷都市東京と近代日本』

p.122『花の栞』第一~五回(東京築地活版製造所発行の印刷物見本集)

 

【資料3】『活字書体の源流をたどる インキュナブラ(西洋揺籃期本)から築地活版まで』

p.34『TYPE FOUNDRY TSUKIJI AT TOKEI 「活版様式」』東京築地活版製造所 1876(明治9)年

(平野富二の活版製造所の最初の冊子方活字見本帳)

p.35『活字摘要録 全』平野活版製造所 1877(明治10)年月

p.36和3.『BOOK OF SPECIMENS MOTOGI & HIRANO 改刷』平野活版製造所 1879(明治12)年6月、和4.『西洋文字各種見本』築地活版製造所 1882(明治15)年7月(現存する初めての単独の欧文活字見本帳)

p.37 和5.『新製見本』築地活版製造所 1888(明治21)年月、和6.『改正電気銅版見本』(株)東京築地活版製造所 1899(明治32)年7月30日

p.38『活版見本』(株)東京築地活版製造所 1903(明治36)年11月1日

p.55年表「東アジア・日本」に、上記一覧あり。

 

【資料4】『東京はじめて物語 銀座・築地・明石町』p.85に、「築地活版所で作られた活字として「築地体明朝活字」が生まれ、明治18年に『明治字典』を刊行した」とある。

 

【資料5】『東京築地居留地百話』p.93にも、「築地活版所は活字の見本帳として、『明治字典』を刊行している」との記載がある。

 

【資料6】『「甦る文明開化 -日本橋・銀座・築地-」 中央区立郷土天文館第6回特別展』

p.24に、東京築地活版製造所活字見本として「東京築地活版製造所活版書体」明治26(1893)年, 「新製欧文名刺用見本」明治26年, 「新製装飾輪廓」の図版が掲載されている。

 


 《回答プロセス》

【資料4】『東京はじめて物語 銀座・築地・明石町』p.82によると、中央区の京橋地区一帯は、昔から印刷業が地場産業として大きく発展してきたところだが、これは明治初期に「東京築地活版製造所」ができて、初めて活字を大量に供給したことによるものである。

【資料6】『「甦る文明開化 -日本橋・銀座・築地-」 中央区立郷土天文館第6回特別展』

p.24に「日本で初めて活版印刷を始めたのは、本木昌造である。本木は、幕末長崎において活版業を始めたが、明治初年東京に出てきて築地に活版鋳造売捌所を設けた。平野富二は明治5(1872)年に本木の許可を得て、神田佐久間町に活版所を設立、間もなく築地二丁目17番地に移り、活字を製造すると同時に印刷機も製造した。」とある。

【資料3】『活字書体の源流をたどる インキュナブラ(西洋揺籃期本)から築地活版まで』

p.55年表「東アジア・日本」に、「明治6年7月 平野富二築地活版所創設」とある。

【資料2】『印刷都市東京と近代日本』p.111 「■明治40(1907)年・東京の主な印刷所一覧」の「京橋区31社」の中に、「東京築地活版製造所」が明治18年7月に築地2-17に創立したとの記載がある。

 


 《参考資料》

【資料1】『「活字文明開化 本木昌造が築いた近代」図録 印刷博物館開館3周年記念企画展』(印刷博物館,トッパンアイデアセンター/編 凸版印刷株式会社印刷博物館 2003年 M3632/IN-001/013 p.34,35,37,191-196,224)

【資料2】『印刷都市東京と近代日本』(印刷博物館/編 印刷博物館 2012年 M3632/IN-001/018-S00 p.111,122)

【資料3】『活字書体の源流をたどる インキュナブラ(西洋揺籃期本)から築地活版まで』

(図録編集委員会/編 女子美術大学 2006 M37/JO-002/007 p.34-38,55)

【資料4】『東京はじめて物語 銀座・築地・明石町』(清水正雄/著 六花社 1998年 2136/558/098 p.85)

【資料5】『東京築地居留地百話』(清水正雄/著 冬青社 2007年 2136/727/007 p.93)

【資料6】『「甦る文明開化 -日本橋・銀座・築地-」 中央区立郷土天文館第6回特別展』

(中央区立郷土天文館/[編] 中央区教育委員会,中央区立郷土天文館(タイムドーム明石 2008年

M3633/CH-001/015 p.24)

 


《備考》

(当室未所蔵の参考文献)

『活版印刷発達史 東京築地活版製造所の果たした役割』(板倉雅宣 印刷朝陽会 2006年)

千代田区立図書館(https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/findbook/publication/tokyotukiji/index/window open

に所蔵あり(2017/4/8確認)

『京橋の印刷史』(東京都印刷工業組合京橋支部 東京都印刷工業組合京橋支部50周年記念事業委員会 1972年)中央区立図書館(https://www.library.city.chuo.tokyo.jp/window open)に所蔵あり(2017/4/8確認)

 


 (参考リンク)

印刷博物館ライブラリー(http://www.printing-museum.org/floorplan/library/index.htmlwindow open

国立国会図書館デジタルコレクション『座右之友. 第2』(野村宗十郎編 東京築地活版製造所 1895年 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/853896window open) ほか(2017/4/8確認)