2010.09.22(Wed)〜2010.11.14(Sun)
2010.09.22(Wed)〜2010.11.14(Sun)
江戸の文化の拠点、「隅田川」の作品が集まる!
隅田川は、江戸の人々にとって輸送の大動脈であると同時に、江戸の名所として、あるいは江戸の名所を数多く抱えた川として深く愛され、親しまれてきた川です。そのため隅田川や、隅田川周辺にある数々の名所は、江戸時代を通じて無数の絵に描かれてきました。当館でも、開館前より隅田川に関する絵については錦絵や屏風、絵巻などを収集してきており、ひとつのコレクションとなりました。 この展覧会は、当館が20年以上をかけて収集してきた隅田川の絵を初めてまとまったかたちで一挙に公開するとともに、他に所蔵されている名品とあわせて、描かれた隅田川の多彩な世界をご覧いただくものです。そして描かれた隅田川を通じて、江戸の文化や生活の中に根ざした隅田川というものを再確認していきたいと思います。 隅田川の絵が、これほどの規模で集まるのは初めてのことになると思います。是非この機会に、都市江戸の 象徴のひとつである、隅田川の絵をご堪能下さい。
開催期間 | 2010年9月22日(水)~11月14日(日) | ||||||||||||||||||||
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開催場所 | 江戸東京博物館 1階 展示室 〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1 JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営大江戸線両国駅A4出口徒歩1分 都バス: 錦27・両28・門33・墨38系統、 夢の下町観光路線バス「都営両国駅前」下車徒歩3分 |
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開館時間 | 午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで) ※入館は閉館の30分前まで※展示期間中に「前期」と「後期」で大きな展示替えがあります。さらに2週間で展示替えとなる作品もありますのでご注意下さい。 ◆ 前期:9月22日(水)~10月17日(日) ◆ 後期:10月19日(火)~11月14日(日) |
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休館日 | 毎週月曜日休館(ただし10月11日(月)は開館、12日(火)は休館) | ||||||||||||||||||||
お問合せ | TEL:03-3626-9974(代表) 午前9時~午後5時30分受付(休館日を除く) |
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主催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、読売新聞社 | ||||||||||||||||||||
協賛 | 光村印刷、キヤノンマーケティングジャパン | ||||||||||||||||||||
観覧料金 (税込) |
※( )内は20 名以上の団体料金。
※共通券は江戸東京博物館のみで販売いたします。
※前売券は6 月22 日~9 月21 日に販売。
※小学生と都内に在住・在学の中学生は常設展観覧料が無料なので、共通券はありません。
※次の場合は観覧料が無料。未就学児童。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2 名まで) |
隅田川を描いた絵を考える上で忘れられないのが、平安時代の『伊勢物語』九段「東下り」(あずまくだり)と、15世紀頃に定着したと考えられる「梅若伝説」(うめわかでんせつ)の存在です。前者は在原業平(ありわらのなりひら)が隅田川のほとりで都鳥(みやこどり)を見て都をしのぶエピソード、後者が都からさらわれてきて隅田川のほとりで亡くなった梅若の悲しいエピソードで知られています。
また浅草寺(せんそうじ)の本尊聖観音像(ほんぞんしょうかんのんぞう)は、推古天皇(すいこてんのう)36年(628)に、宮戸川(みやとがわ)(隅田川)で漁をしていた3人の漁師の網にかかったものだと「縁起」にあります。江戸時代初期における隅田川の絵画化には、これらの場所を隅田川とともに丁寧に描いたものが多く認められます。
そして江戸が都市として成熟するに従い、隅田川やその周辺に多くの現実的で世俗的な遊興の場や名所が誕生してきます。それにともない、描かれる世界もさまざまな展開を見せ始めるのですが、先のエピソードは、江戸時代を通じてさまざまなかたちで描かれ続けており、江戸の人々の深い愛着を感じ取ることができます。
なお、隅田川は「角田川(すみだがわ)」と書かれたり、「宮戸川」「浅草川(あさくさがわ)」「大川」とも呼ばれますが、今回は作品名を尊重しつつ河川名は隅田川で統一させていただきました。
東都両国ばし夏景色(とうとりょうごくばしなつげしき) |
隅田川が描かれ始めたときから、舟遊びの描写は登場します。とりわけ三ツ俣(みつまた)(中洲)や両国橋界隈は舟を繰り出す人気の場所として知られており、この場所で月見や花火を楽しむ舟のようすを描いたものは多いです。
しかし最も隅田川らしい舟遊びと言えば、日本橋から日本橋川を下って隅田川に合流し、そのまま隅田川を上っていくという「川上り(かわのぼり)」です。これは元禄(1688~1703)から人気があった定番コースで、日本橋の上からの景色を堪能したあとは、舟から江戸の町並みや大海原を楽しみ、そのまま隅田川を上って最後に浅草寺あたりに到着する、という今の観光バスのような存在です。もちろん吉原(よしわら)に向かう客も、隅田川を舟で上っていきました。こちらは猪牙舟(ちょきぶね)で、両国橋に近い柳橋から今戸橋が架かる山谷堀(さんやぼり)辺りまで行くコースが多くなります。
このように江戸時代の隅田川は、舟の上で遊ぶ、または舟で行くことを楽しむ場所として愛されてきた川であることを、忘れてはならないと思います。
隅田川図屏風(すみだがわずびょうぶ) 作者不詳 江戸前期・18世紀前半頃 江戸東京博物館所蔵 |
隅田川舟遊び(すみだがわふなあそび) 鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし) 江戸中期・18世紀末~19世紀初頭頃 江戸東京博物館所蔵 |
舟で楽しむのが最も隅田川らしい一面であり、そのようすを描いた絵はいかにも行動的で活気に満ちていますが、もちろん隅田川の眺めもまた素晴らしいものがありました。
高い建物などなかった江戸時代、橋の上や舟の上から見晴らすと、遠景には富士山と筑波山を望み、近景には川岸の有名な社寺の建造物の姿が点在するのが眺められます。広々とした空間の中に描かれた隅田川は、都市江戸の山水画(さんすいが)と言えるかもしれません。
また、やはり隅田川を舟で行くことによって楽しみや面白さが増す名所や、美しいというよりも生活感ある名所が散見されるところもみどころです。舟の存在を前提とした風景が描かれていることに、隅田川と舟との結びつきの強さが感じられます。
そして隅田川に弧を描いて架かる大きな橋は、隅田川の流れのアクセントとなり、さまざまな人が行き交う橋の上のようすは格好の風俗画の画題ともなりました。ここでは隅田川の光景がどのような切り口で描かれているのか、さまざまな視点から紹介します。
左隻 |
右隻 |
隅田川風物図屏風(すみだがわふうぶつずびょうぶ) |
天明八戊申歳江戸大相撲生写之図屏風 右隻 |
冨嶽三十六景 深川万年橋下 |
江戸の人々は季節の移ろいに敏感であり、四季折々の遊びを楽しむ感性も高かったので、江戸が都市として成熟するにつれ、江戸ならではの年中行事が次々と定着していきました。
そのような中で「江戸名所」として親しまれるようになった場所の多くも、名所としてその場所が最も魅力を発揮する季節というものを持つようになりました。絵も、その季節で描かれることが多くなりました。それは植物の開花期であったり、社寺の祭礼や縁日の頃であったり、または月や雪といった天然自然に関わるものであったりさまざまです。
隅田川周辺の名所や一定の地域にも、このような傾向がうかがえる場所があります。ただ、同じ場所が複数の季節に好まれる場合がある一方、秋については、待乳山(まつちやま)や佃島が秋の風景として描かれる例があるものの、定番となる場所ははっきりとしていません。
いずれにせよ季節感あふれる隅田川の絵が、隅田川を描いた絵の「華」であることは間違いありません。ここでは、春、夏、冬を中心に、季節感のある絵を紹介していきます。
両国夕涼ノ図(りょうごくゆうすずみのず) |
名所江戸百景 両国花火 |
両国花火之図(りょうごくはなびのず |
江戸幕府が終焉を迎え時代が明治に変わると、非常に大きな変化が訪れた。いわゆる文明開化である。しかし庶民の日々の生活や人びとの感性までもが、急に全て変わったわけではない。描かれる隅田川は、明治という時代を通じて、だんだんに表現技術や注目する場所や事象を変化させていった。その一方、江戸時代とほとんど変わらない面も残り続けたことも忘れてはならない。
大正頃になると、画家が絵、彫り、摺りを全て自分で行う創作版画活動と、伝統的な分業制作を復活させた新版画運動が盛り上がった。そしてさらに大正十二年(一九二三)の関東大震災後の近代都市復興計画によって、隅田川には復興橋と呼ばれる橋が次々と架けられ、隅田川の景観そのものも大きく変わった。当時、少なからぬ画家が東京の近代都市化を描いた中で、隅田川の橋もおおいに注目を集めた。
平成の現在、第二次世界大戦を経てなお隅田川に架かる復興橋のモダンな美しい姿は、テレビや映画に再三登場し、東京風景を語る上で欠くことのできない存在となっている。
2010年11月26日(金)から、当館ミュージアムショップにて特別展「隅田川~江戸が愛した風景~」の図録を販売しております。
図録定価(税込) 2,300円
【図録の通信販売について】
〔料金〕
※定価 2,300 円×冊数+ 500 円(送料、梱包料)
〔申し込み先〕現金書留 でお願い致します。
読売新聞事業開発部「隅田川展図録係」宛
電話番号:03-5159-5886
展覧会の音声ガイドのナレーターは、俳優・デザイナーのARATAさんに決定!
撮影地:駒形橋 |
ARATAさんデザインの展覧会コラボグッズも、 江戸博で先行販売!
映画やテレビドラマなどで個性的な役を演じるARATAさん。以前から江戸東京博物館を応援してくれており、浮世絵など江戸美術にも関心が高いARATAさんがナレーターをつとめます。さらに「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のデザイナーもつとめているARATAさんが、本展とのコラボグッズを製作します。展開するグッズは、Tシャツや図録トートバッグ、タオルをはじめ、伝統工芸職人と共同製作する手ぬぐい、江戸切子グラスなど。展覧会会期中、特別展「隅田川~江戸が愛した風景~」物販コーナーにて先行販売いたします。ご期待下さい。
~ARATAさんからのメッセージ~
江戸東京博物館は、僕の興味をかりたてる、独自の視点を持った展覧会がよく開催されるので、以前から足を運んでいました。とくに江戸時代の美術が好きで、葛飾北斎や広重、国芳などの展示物は毎回楽しみにしています。
今回、この江戸東京博物館の展覧会にナレーターとして参加できることになり、ひとつの夢がかなったくらいの喜びを感じています。
僕は東京で育ち、東京で暮らしていますが、隅田川には撮影などで訪れたことがあるくらいで、今までその歴史を深く知ることはありませんでした。ただ隅田川周辺の文化にはとても興味があったので、この機会が、東京を代表する川のひとつをより深く学ぶきっかけになればと思っています。
~プロフィール~
1974年9月15日生まれ、東京都出身。俳優、「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」デザイナー(http://elnest.com)。
98年に是枝裕和監督作品『ワンダフルライフ』に映画初主演。最近の出演作品に、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松孝二監督 /08)、『蛇にピアス』(蜷川幸雄監督/08)、『20世紀少年 第1~3章』(堤幸彦監督/08~09)、NHKスペシャルドラマ『最後の戦犯』、『JOHN RABE』(フローリアン・ガレンベルガー/09)、『ウルトラミラクルラブストーリー』(横浜聡子監督/09)、『空気人形』(是枝裕和監督/09)、『渋谷』(西谷真一監督/10)、『ソラニン』(三木孝浩監督/10)、『座頭市 THE LAST』(阪本順治監督/10)、 『ハナミズキ』(土井裕泰監督/10)、NHK土曜ドラマ『チェイス~国税査察官~』がある。その他、舞台『マレーヒルの幻影』(作・ 演出 岩松了)への出演、日本科学未来館『バースデー ~宇宙とわたしをつなぐもの~』ナレーション、アウトドア雑誌『GO OUT』での連載や、旅先の写真をまとめた冊子『日本遊行』などの制作もある。
特別展「隅田川~江戸が愛した風景~」の開催を記念して、現代を代表する落語家2人が、「隅田川」が登場する演目を披露します。
隅田川の魅力を的確にとらえた作品であればどなたでもご応募できます。
テーマ | 「隅田川の魅力を撮る」 ① ネイチャー部門(自然、生き物、田園風景) ② 文化・歴史部門(伝統や文化を感じさせる風景) ③ ヒューマン部門(商店街、民家、人々の生活風景、年中行事) |
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部 門 | 一般部門、ジュニア部門(中学生以下)の2 種 |
応募資格 | プロ・アマチュア問わず、どなたでも応募可能です。 ・ 応募者は応募作品の作者本人に限ります。 ・ 応募者は日本国内にお住まいの方に限ります。 |
締 切 | (当日消印有効で当館「隅田川を写したフォトコンテスト」係宛) |
審査員 | 竹内誠(当館館長)、田沼武能(写真家)、 池田正一(読売新聞東京本社写真部部長) |
プレスリリース、写真のご用命は、「隅田川~江戸が愛した風景~」 広報事務局(共同PR株式会社内)までお願いいたします。
電話:03-3575-9823