「本郷も兼康(かねやす)までは江戸の内」という川柳に出てくる「かねやす」とは何か。(2019年)

2019/07/19

(回答)

「かねやす」は地名と店名として知られる。地名としては本郷三丁目の兼康横町。『御府内備考』によると、兼康祐悦という口中医師(歯医者)が住んでいたことに由来する。店名としての兼康はこの地に祐悦が開いた店。享保年間(1716年頃)から乳香散という歯磨粉を売り始め、大いに流行、繁盛したという。質問にある川柳は、中仙道を北上すると兼康の店がある辺りから江戸の景観が農村的に変化したからと考えられている。現在、店は移転し、洋品店となった店舗(文京区本郷2-40-11)脇に説明プレートがある。

(参考資料)

【資料1】『日本歴史地名大系 第13巻 東京都の地名』平凡社地方資料センター/編 児玉幸多/監修 平凡社 2002年 請求記号:2910/139/13-S00 p.519

【資料2】『江戸語辞典』大久保忠国,木下和子/編 東京堂出版 1991年 請求記号:8183/7/91 p.183

【資料3】『江戸学事典』西山松之助/他編集 弘文堂 1994年 請求記号:2136/396/94 p.119

【資料4】『江戸社会史の研究』竹内誠/著 弘文堂 2010年 請求記号:2136/885/0010 p.72~74

【資料5】『東京江戸案内 歴史散策 巻の3 老舗と職人篇』桜井正信/編 八坂書房 2003年請求記号:2913/725/3 p.75

 文京区HP  https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/shiseki/kaneyasu.htmlwindow open (最終アクセス日:2019年6月12日)